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苔の研究レポート

スギゴケ研究 -スギゴケのトラブルについて-

オオスギゴケ Polytrichum formosum Hedw. とウマスギゴケ Polytrichum commune Hedw.

<スギゴケのトラブルについて>
 スギゴケを主体とした苔庭園は日本の代表的な庭園ですが、造園業者にとってこんもりとしたスギゴケの庭を維持するのは大変なことのようです。苔神工房に寄せられるコケの相談の大半が、スギゴケの枯死に関するものです。庭園のスギゴケの代表的なトラブルを上げてみます。
・スギゴケの苗を移植したが、3~6ケ月ほど経過後に赤茶けて枯れて来た。(枯死現象)
・何年もきれいに根付いていたスギゴケが、ある時期から一斉にばたばたと倒れ、赤茶けて枯れ始めた。(倒伏現象)
 いずれも、苔庭園にとっては致命的なトラブルですが、その原因については、「スギゴケが育つには環境が悪いのではないか?」あるいは「天候が厳しくて駄目になったのでは?」と推測をする程度で、これまで誰もが首を傾げるだけでした。

 苔神工房では、造園業者から寄せられる相談に応えようと、スギゴケの研究を続けて来ました。その結果、スギゴケには幾つかの生態的な特徴があることに気付きました。そのスギゴケの生態的な特徴と庭園のスギゴケのトラブルに密接な関係があると考え、様々な観察や調査、実験を行い、トラブルに対する対処法を考えてみました。