苔の専門サイト 日本苔技術協会 > 研究レポート > 017 苔の種の直播栽培

苔の研究レポート

017 苔の種の直播栽培

 2012年9月に、鎌倉市に在住の川原さんからメールで、こんな相談を受けました。
「今年の6月初旬に、庭師にお願いして表の小さな坪庭に杉苔を植えてもらいました。7月中は元気だったのですが、8月に入ってから、茶色く変色し、一部を残して緑色の先をみせている苔がほとんどなくなってしまいました。すこし、復活しているものもあるようですが。毎朝水やりを欠かさないようにはしているのですが、まだ一部生きているのであれば、その隙間に、スギ苔の種をまいてみようかと考えました。まったくの素人でわかりませんが、やってみる価値があればトライしてみようかと思います。」
 苔神では、庭への苔の種の直播きはあまり勧めていません。現在、多少のスギゴケが生えている場合に、補強として苔の種を追い播きするのが有効だと分かっていますが、全く、スギゴケがないような場所への直播きは、効果が薄い場合が多いのです。
 ですが、川原さんには、その旨を説明して、苔の種を播いてもらうことにしました。苔の種の播種は、2012年10月です。川原さんからは、3月に入った頃に、発芽が観察されたと、報告がありました。その様子を写真で送ってもらったのが下の画像です。4月23日頃の撮影です。
 
17jikamaki_1.jpg
 
 苔神では出荷した苔の種をサンプル栽培しています。川原さんへ送った種を9月25日に播いたのですが、苔神のサンプルでは、12月には発芽が観察されています。ただし、ポットでのさいばいですから、川原さんの庭への直播きとは、条件が違います。
 下の画像は、5月1日現在のサンプル栽培の様子です。
 
17jikamaki_2.jpg
 
 やはり、ポットでの栽培から比べたら、庭への直播きは難しいようです。でも、幸いなことに、川原さんの庭ではなんとか発芽が見られ、成長しそうです。
 このレポートへの掲載を快く承諾して、写真を送って頂いた川原さんに、お礼申し上げます。

 By 苔神