苔の専門サイト 日本苔技術協会 > 研究レポート > 006 苔の質問と応答

苔の研究レポート

006 苔の質問と応答

■問合せ: 13/8/15
毎年夏に親戚の集まり的なものに行くのですがそこで初めてとても綺麗な苔を見つけ、苔の栽培に興味を持つようになりました。去年は自分の知識不足で枯らしてしまったので今年はそうゆうことがないようにしたいのですが、なにしろ知識があまりないものでメールさせていただきました。
 
06%20q%26a1.jpg
06%20q%26a2.jpg
 
四種類ほど苔を採取したのですが、インターネットの写真と見比べてもどれがどの苔だかわかりません。
なので、苔の種類と育て方(日向と日陰どっちがいいか、水やりの頻度など)を教えていただきたいです。
また、複数種類があるので水槽で育てたいと思うのですがそれは可能でしょうか
可能な場合は必要なものも教えていただけると幸いです。
どぅた

■応答:13/8/15
どぅた 様
メール拝見しました。
コケの美しさに魅入られて、コケの愛好者になる、最近、増えています。
同じ、コケの愛好者として、うれしい限りです。
コケは、日本国内だけでも1,800種類以上存在しています。
コケはご存知のように、とても小さい植物ですから、見た目では、同じように見えるコケでも、どの種類かを決めるのはとても難しいのです。
種類を判別するには、普通は、サンプルを採取して、顕微鏡で茎や葉を観察します。
ちいさな特徴を見分けて、それでも分からないものもあり、切片を作り、細胞を観察して判別することもあります。
どぅたさんが、現物をウエブ上の写真と見比べても、判別できなかったというのは、仕方のないことなのです。
残念ですが、添付された写真だけでは、種類を特定することはできません。
でも、種類が分からなくても、大体の育て方の要点は教えることができますので、チャレンジしてみて下さい。
植木鉢に土を入れて、たっぷと水を含ませます。
コケを乗せて、上からしっかりと土に押し付けて下さい。
再び、上からジョウロで水をやります。
植木鉢の置き場所ですが、まず、苔の生えていた場所の特徴を思い出して下さい。
日当たりか、日蔭か、それに近い場所で育てます。
屋外でも、室内でもどちらでもいいです。
育て方は、水やりだけです。
水やりの頻度は、土の表面が乾いてきたら、ジョウロでたっぷりとやります。
霧吹きではだめです。土の中まで水が染み込むようにして下さい。
注意する点は、風とエアコンです。
どちらも急激に乾燥してしまいますので、避けるようにして下さい。
以上です。
うまく行くかどうかは保証できませんが、私は、このやり方でほとんどのコケを育てています。
頑張ってやってみて下さい。
一言します。
人にものを尋ねる時は、まず、自らが誰なのか、名前を名乗り、自己紹介をするのが常識です。
それがない場合は、応答しないことがあります。
ご注意下さい。
苔神工房 北川義一

■問合せ:13/8/15
お返事ありがとうございます。
すみません^^;
失礼しました。
埼玉県在住の現役高校一年生で名前を丸山航と申します。
苔について興味を持ち、去年採取したのですが枯らしてしまい、高校に入ってからインターネットで購入したのですが、正直うまくいっていないのが現状です(´・_・`)
普段のイメージからして苔が好きなんだと友達に言うと驚かれることがとても多いです(笑 友達に自分のとても綺麗な苔を見せて、少しでも関心を持ってもらいたいと思っています。
質問ばかりで申し訳ないのですが、同じ植木鉢に複数種の苔を栽培するのは可能でしょうか。
また質問が重なるのですが、大きな水槽で複数種の苔を栽培するのは可能でしょうか。
家に帰ったらすぐにでも苔の環境を整えたいと思っています。
正直まだわからないことだらけなので、またメールさせていただいてもよろしいですか?
丸山航

■応答:13/8/15
丸山 航 様
返信のメール読みました。
コケは、今、世界中から注目されています。
地球温暖化に、コケが役に立つのではないかと、コケの栽培に関心が寄せられているのです。
コケは世界中に普通にあるのですが、コケを育てる技術は、日本にしかない、といってよいほど、日本のコケの技術に世界中が注目しているのです
でも、日本でも、コケの栽培技術を持つ人はとても少ないのです。
コケを研究する学者もとても少ないのです。
丸山さんが将来、コケの研究に携わり、地球温暖化に有効なコケの利用方法を開発してくれることになったら、いいなあ、と思います。
そこで、一つだけ、特別な、コケの栽培方法を教えます。
採取してきたコケを水洗いします。
それを乾燥させます。
からからに乾いたコケを手で揉んで、細かくします。
小さい植木鉢に土を入れ、水で濡らし、その土の上に、細かくしたコケを隙間なく平均に播きます。
大きな水槽があるようなので、水槽を利用します。
まず、水槽の底にカーペットを敷きます。
不要になったカーペットを水槽の底に合わせて切って下さい。
カーペットが沈むくらい、水を入れます。
そこに植木鉢を並べます。
水槽の口はガラスでふさぎます。(水分が蒸発して無くならないようにします。)
ガラスがなければビニールでふさぎます。
水槽はできるだけ明るい場所に置きます。
こうして、コケを発芽させ、育てます。
播きゴケ法という栽培方法です。
植木鉢には、1種類でも複数種類でも、どちらでもいいです。
コケを育てる時、必ず、写真を撮って記録して下さい。
コケを採取する前の写真、全体、部分、コケの単体、播きゴケした様子、発芽の様子、育って行く時の様子などです。
ノートに、コケの採取日、採取場所、播種した日、最初に発芽した日、などを記録します。
詳しく記録すれば、コケの研究ノートとして貴重な資料になります。
高校生の生物研究を発表する場所もあります。
ある程度のコケの栽培が成功したら、高校の生物の先生に見てもらうといいでしょう。
生物クラブに所属するのもいいです。
私も、高校生時代、生物クラブで昆虫の研究をして、新潟県から表彰されました。
でも、高校の生物の先生でも、コケの専門家は、たぶんいないと思います。
生物クラブに所属すると、コケの図鑑や顕微鏡などを利用できるのが、最大のメリットです。
今後も、コケで知りたいことや疑問があれば、いつでも相談下さい。
大宮高校の生物部の生徒も、コケについて私に相談してきます。
暇があったら、新潟へ訪ねてくれば、いろんなことを教えてあげます。
苔神工房 北川義一
PS.水槽ではありませんが、プラ容器で栽培している私の試験栽培の写真を添付しますので見て下さい。
 
06%20q%26a3.jpg
 
■問合せ:13/8/15
美しいうえに世界規模での活躍も見込める植物なのですね!!驚きました!!
貴重な情報ありがとうございます
早速実践してみようと思います。
苔の魅力をたくさんの人に伝えられるよう、頑張ります
本日はお忙しい中ありがとうございました。
丸山 航