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苔の研究レポート

001 こけのQ&A

 コケに関する質問や問い合わせが数多く寄せられます。
できるだけ適切に答えたいと思っていますが、同じような質問が繰り返し寄せられることもありますので、質問と、苔神の応答を公開することにしました。
 同じような疑問や不安をお持ちの方は、参考にして下さい。

■質問: 11/11/07
はじめまして、私は富山県の造園会社のTと申します。
スギゴケの育て方について教えて頂きたくHPを拝見してメールさせて頂きました。
弊社に問い合せ頂いたお客様のお宅でスギゴケが育てられているのですが(施工は別会社)施工から2年ほど経過し、スギゴケが成長し、伸びて倒れていたりなど見た目に見苦しい状態になっております。
これをよい状態になるように管理したいのですが、どうするのが適切でしょうか?
現場の写真を添付させて頂きます。
苔の種をまいて補修するのがよいでしょうか?
アドバイスいただければ大変ありがたく、よろしくお願いいたします。
 
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■応答
メール拝受しました。
添付写真を拝見しました。

 ウマスギゴケかと思いますが、一見して、倒伏現象が発生しています。
施工後2年経過とありますので、本来なら、コロニーの中から今年の新株が多数発生しているはずですが、写真ではほとんど見られません。

 スギゴケは1本の株が年に3~5センチほど伸びて、4年も経過すると茎高が10センチ以上になり、倒伏します。スギゴケの倒伏現象は、伸びた茎の下部が徐々に枯れて行き、土壌化するというスギゴケの性質によって起こるものです。スギゴケが倒伏すると、コロニーが壊れて保湿空間が失われ、過乾燥を招き、やがて枯死に至ります。スギゴケの倒伏枯死現象は人工移植だけではなく、自然環境下での繁殖地でも見られますが、小生の経験では、人工移植の庭のほぼ100%で発生する現象です。
 スギゴケは土中に仮根層を発達させて、毎年、新株を発生します。この新株が、旧株の隙間を埋めることで、倒伏を防止する機能を果たしている、と考えられます。倒伏枯死現象が発生した現場での人工移植のスギゴケでは、この仮根層がほとんど発達していません。何故、人工移植のスギゴケの仮根層が発達しないのか、原因はまだ分かっていません。

 倒伏現象が発生したスギゴケのコロニーを、健全なコロニーに改善するには、土中に仮根層を形成するように処置するのが最善なのですが、どうすれば、仮根層を育成することができるのか、スギゴケの生態的な研究が未解明なので、正確な対処法は不明です。ただ、小生の実験では、スギゴケの種を播種して育てると、2年ほどで仮根層を形成し、毎年、新株を発生するようになることが分かっています。

 スギゴケの栽培、管理の方法としては、まず、土中の仮根層を育成することです。仮根層が発達すれば、毎年、新株を発生するようになりますので、茎高が伸びすぎた古い株を冬季に刈り込んでやり、倒伏現象の発生を防止します。刈り込んだ古い株は立ち枯れしますが、翌春には新株が伸びて緑葉を発達させて、コロニーを維持することができます。俗説として、スギゴケを刈り込む管理方法が言われていますが、仮根層が発達していないスギゴケを刈り込むと、翌春、全滅する可能性があり、危険です。

 スギゴケの仮根層を形成する手段として、スギゴケの種をコロニーの土中に播きこんでやる方法があります。追い播き法といいます。スギゴケのコロニーの中で播きゴケ法を行い、同時に仮根層を育成する方法です。1年ほどで、仮根層が形成され始め、2年目以降、新株が発生してきます。(うまく行けば、冬季に追い播きをして、翌春には新株が発生することもあります。)
 ただし、スギゴケの仮根層は地面下5センチほどの深さで発達するようです(日本蘚苔類学会の研究報告です)ので、現場の地盤が問題になります。小生の経験では、山砂を使用した基盤土で、倒伏枯死現象が数多く見られます。果たして、山砂の基盤土が仮根層の発達の障害になっているのかどうか分かりませんが、少なくとも、山砂は排水性が良く、水分を好むスギゴケには少し難があるように思います。。
 スギゴケはどちらかといえば、腐葉土層や、水分供給のある山土層を好んで自生します。もちろん、山砂でも十分な水分供給があれば、繁殖します。つまり、基盤の土によっては、播きゴケ法、追い播き法でも、仮根層の育成がうまく行かない場合もありますので、注意が必要です。

 スギゴケの苗に問題がある可能性もあります。現在、市場に出回っているスギゴケの苗は底の浅い育苗箱で育てられた苗です。培土が少ないために、栽培期間中に仮根層が発達しにくいのです。しかも、大半のスギゴケの苗は1年未満の栽培期間で出荷されています。そんな苗を山砂の基盤土に移植しても、十分な仮根層の発達は期待できないと思います。
 そこで、小生は、日本苔技術協会でバークまたはピートモスと、赤玉土の混合培土を、さし芽箱に4~5センチの厚さで投入し、播きゴケ法で育てることを勧めています。2年ほど培養すれば、仮根層が発達し、移植してもそのまま自生する苗を育てることができます。ただし、このようにして栽培されたスギゴケの苗は現在、流通していません。日本苔技術協会の会員も栽培を始めたばかりです。

 いずれにしろ、スギゴケの倒伏枯死現象は未だ未解明なことが多く、完璧な対処法はないというのが、正確なアドバイスです。写真でははっきり分かりませんので、調べることができたら、2点、調べてみて下さい。
1、スギゴケのコロニーをかき分けて、今年発生した新株があるかどうか。伸びた古い株は緑葉の部分の下に、枯れた葉が付着した茎の部分が見られます。新株は細い茎に緑葉が発生している短い若い株ですから、見分けが付くと思います。
2、部分的に5センチほど、地盤の土ごと掘り出して、仮根層を観察して下さい。スギゴケの仮根は細いクモの糸のように土中に広がっています。掘り出した土を水に浸けて柔らかくほぐすと、仮根が観察できます。仮根層が未発達な場合、栽培土(多くはピートモスや黒土)と基盤土が分離してはがれて来ることもあります。こんな場合は、ほぼ、現状のスギゴケは移植から4年以内で倒伏枯死現象で全滅します。

 こんな程度のアドバイスしかできず、申し訳ありません。
 スギゴケの栽培は難しく、研究を続けていますが、時間がかかります。倒伏枯死現象を防止する方法は、庭造りの際に基盤土を選択し、良質なスギゴケの苗を選択すること、と言えます。また、あらかじめ苔の種を播き込んだ上に、苗を移植するという安全策もあります。
 ですが、倒伏枯死現象を起こしてしまったスギゴケのコロニーを修復する簡単な方法はありません、と言うほかありません。

 参考になったかどうか分かりませんが、お返事申し上げます。
 苔神

002 苔の質問と応答(継続)

■質問:富山県 T 11/11/08
 お世話になります。丁寧な回答、本当にありがとうございました。大変参考になりました。今までコケについて、簡単に考えていましたが、生態がまだ明らかになっていないことを聞き、とても奥が深いものだと感じました。

 アドバイスを受け、スギゴケの様子を調べてみました。その写真を添付します。
 新株は多少あるようですが、仮根層はやはり発達していないと思われます。写真のスギゴケは、現場からとってきたものですが、栽培土は2~3㎝で、基盤土は山砂で簡単にはがれました。
 今後の対策として、このような状態で追い播きをして新株が発生する可能性はあるでしょうか?
 それより、コケを一度はがして、基盤の土づくりをやり直した方がよいでしょうか?
アドバイスいただけると大変ありがたいです。よろしくお願いいたします。
 
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■応答
 現場のスギゴケの速やかな調査、観察写真の的確な撮影、ともに勘どころを得たもので、感心致しました。
 スギゴケのコロニーが、基盤土から簡単に剥がれて来たことや、培土の厚み、仮根層の薄さ、新株の芽数(17株)などがつぶさに観察できます。種類はオオスギゴケのように見えます。株齢は3~4年と思われます。
 培土は黒土か、畑土でしょうか。ひょっとすると、ケース栽培されたものではなく、畑で栽培された苗を鋤取った苗かも知れません。畑で栽培すると、スギゴケの仮根は5センチ以上の深さまで発達しますが、それを切り取って出荷するために、仮根の大半が失われてしまいます。その代り、畑では、翌年、新株が旺盛に発芽して再生産に繋がります。スギゴケについて知っている栽培業者はほとんどいない、それが現状なのです。

 さて、現場の問題ですが、本来、事業としてコケを扱う場合は、アドバイスや指導は有料になるのですが、飛世さんの熱心さに免じて、お教え致します。
①現在のスギゴケを剥がして基盤土の山砂を10センチほど掘り出します。
②底に、薄いビニール(袋を開いたもので可)を敷き込みます。(現場が非常に排水性の良い基盤のように見えますのでこの対策を採用します)
③バークまたはピートモス、赤玉土を1対1で混ぜ合わせた混合培土を元の基盤土の高さまで投入します。
④たっぷりと灌水し、培土に給水します。
⑤スギゴケの種を均一に播き、さらに灌水します。
⑥少し水が引いた頃に、剥がしたスギゴケを元に戻します。
※スギゴケの種は1平方メートル当たり5リットルの播種量を目安にします。

 施工後の管理ですが、これから春までの冬期間は以下のようにします。
 現場は当然、雨が当たる場所と思いますが、もし、雨が当たりにくい場所なら1週間に一回程度の灌水を考慮してください。もちろん、その間、雨が降らないという条件の時です。1週間に一回程度、雨が降るような場合は灌水は必要ありません。また、風が通る場所で乾燥が早いようなら、時々、灌水してください。冬期間、雪の下になるなら管理は必要ありません。
 春、3月頃から、新株の発生状況を観察します。新株が旧株と同じくらいの数が発生すれば、まずまずです。6月頃まで、時々でよいですから、観察を続けます。新株は春先から、夏場まで、地中から伸び出して来ます。
 取り敢えず、こんな対処法が最善かと考えます。

 本格的にコケを学ぶには、コケを栽培してみることが一番です。コケを学びたくなったら、連絡して下さい。 今後、コケは様々な形で需要が増えて来ます。今、コケを学んでおけば、将来、大きな事業に取り組むことが出来ますよ。
 頑張って下さい。
 by苔神

003 コケの質問と応答

 今回は8月5日から岡山理科大学で開かれた日本蘚苔類学会第42回岡山大会の話を紹介します。
 苔神は、5日、オプションツアーとして、岡山理科大の自然植物園のコケの栽培を見学しました。
 
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 西村先生からは、あらかじめ「期待しないで下さい」とのメッセージを頂いていましたが、エゾスナゴケの栽培やミズゴケの栽培など、参考になることがありました。
 まず、遮光ネットハウス内での栽培です。最初はビニールハウスだったそうですが、ハウス内の湿度、温度が高すぎて、うまく育ってくれなかったとのことです。また、うまく育っても、外へ持ち出した途端に駄目になるという問題がクリアーできなかったようです。
 エゾスナゴケの栽培は育苗箱を使用し、培土はピートモス、山砂、その混合と3種類でしたが、ピートモスは過湿でうまく育たない、山砂もしくは半分半分の混合が良いとのことです。もちろん、エゾスナゴケを乾燥して細かくし、播種する播きゴケ法での栽培です。
 概ね、3~5年ほど育てると、十分なコロニーを形成するそうです。
 ミズゴケは6種類ほど栽培しているとのことでしたが、あいにく、苔神はミズゴケには余り関心がなく、説明してくれた川合さん(右写真の中央)の話を聞いていませんでした。すみません。
 それ以外には、スギゴケやホソバオキナゴケ、ナミガタタチゴケ、ハイゴケなどがありましたが、ほんの少し、という程度でした。
 
 ツアーに参加した24名ほどの人たちは、川合さんの説明に聞き入り(左写真の右端が川合さん)、ほとんど質問は出ませんでした。もっと様々な質問が寄せられるのかなと、思っていましたので、少し、拍子抜けしました。苔神はもっぱら、島根から参加した二村会員(右写真の左端)と圃場内を歩き回って、栽培状態などの話に夢中でした。
 いろんな方と会って話をして、とても楽しかったです。
by 苔神

004 コケの質問と応答

 新年、明けましておめでとうございます。今年も、コケに関する研究報告やレポートなどをアップして参りますので、よろしくお願い申し上げます。
 昨年9月末に、新潟県三条市にお住いの加藤敏敦さんからメールを頂きました。

■問合せ: 13/9/24
小生、拙宅一部に苔庭を設えております。
苔の管理に日々腐心しております。
つきましては、ネット上で貴会の存在を知りました。
ホームページ上では概要を知りましたが、もう少し具体的な活動内容がございましたらお知らせいただければ幸いです。
その後、是非入会し、ご指導いただきたく考えております。
宜しくお願い致します。※拙宅の庭一部画像添付します。(2013_5_25_撮影)
 三条市 加藤敏敦
 
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■応答:13/9/25
加藤敏敦 様
メールありがとうございます。
立派な苔庭ですね。
画像からは、コケの種類が分かりませんが、かなりコケのコロニーが発達しているように見えます。

小生は、主に、コケの栽培方法、管理方法について研究し、技術を確立することを目標にしていますが、小生の下に、造園屋さん、コケの栽培農家を目指す人、こけ玉やフラワーアレンジメント教室の講師の方などが集まり、日本苔技術協会を構成しています。
正直に言えば、ここ数年、「苔の種」の開発によってようやく、コケの苗を人工的に量産することが、可能になったというところで、庭にコケを移植し、完全に維持管理できる人は、小生も含めて、日本にはまだ誰もいないと思います。

日本苔技術協会の活動とは、コケの栽培から始めています。
造園屋さんでも、こけ玉の先生でも、コケの苗を育てることが出来て、初めて、コケについて基礎的な知識を学ぶ準備が整うのだと、小生は考えています。
従って、入会した会員の皆さんには、まず、コケの苗を育てて貰います。
コケの苗が育つには、おおよそ2年かかります。
その間、会員の皆さんには、自然界のコケを観察して貰います。
およそ、10種類くらいのコケについて、観察し、見分けられるように学んでもらいます。

こうした会員の自主活動に対して、小生は、可能な限りアドバイスを致します。
もちろん、会員の皆さんはそれぞれ、事業の目標がありますから、コケ一般を勉強する必要はなく、専門的に、数種類のコケの栽培や移植、管理などに力を入れることになります。

加藤さんがコケを学びたいのであれば、自家の苔庭の管理方法に特化して学ぶのが早いと考えます。
三条市であれば、近いので、現場でのアドバイスが可能ですね。
というより、一度、加藤さんの苔庭を見せて頂きたいなあ、と思う次第です。
如何ですか?

■その後
 この後、2回ほどメールを交換して、10月12日に加藤さん宅を訪問して、庭を見せて頂きました。
 庭は東南に面し、塀に囲まれたおよそ230㎡、適度に配された樹木と景石、砂利敷きの踏み石で回遊する明るい苔庭です。
 
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 苔の種類は、ハイゴケ、カモジゴケ、スナゴケを主にして、フデゴケ、スギゴケなど10種類ほどが見られました。本来は2007年にスギゴケを全面に移植した庭だったのですが、2010年の春頃にはほぼスギゴケが全滅状態となって、現在のコケを移植したものです。それから3年、今ではきれいに定着して、見事なコロニーを形成しています。
 コケを見た後、お茶を頂きながら加藤さんから苔庭の管理について、苔神から幾つか質問させて頂きました。
「苔の管理で心がけていることは何ですか?」
「枯葉が落ちるので枯葉拾いと、水やりです。」
「夏場でも水をやりますか?」
「毎日、やります。夜、涼しくなってから水をやります。」
「数種類のコケが混生していますが、ハイゴケが旺盛になってきますよね。」
「カモジゴケの中のハイゴケをこまめにつまんでいます。」
「雑草が全く見られませんが、摘んでいますか?」
「毎日の日課のようになっています。」
 加藤さんは苔庭と聞けば、どこへでも出かけて行き、コケを見せて貰い、コケの話を聞いて来るそうです。今の所、苔神から加藤さんへアドバイスすることは何もありませんでした。

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 昨年末に、加藤さんから苔庭の写真集が送られてきました。「我家の苔庭」と題された16頁のフルカラー印刷です。
 加藤さんは、庭を見たい人はどうぞ見に来て下さい、と仰られています。興味のある方はe-mailで問い合わせて下さい。(tkato@kakuri.co.jp)
 コケを庭で育てたいとお考えの方は、加藤さんの話を聞くのが良い勉強になると思います。
  by 苔神

005 苔の質問と応答

 近年、コケに対する関心は、世界中に広がっています。苔神に寄せられる国外からの問い合わせを紹介します。
 平成12年6月に、アメリカからこんなメールが飛び込んできました。

■問合せ: 12/6/5
初めまして。
安藤啓子と申します。アメリカ在住のJack Pollockに代わってメールさせていただいております。
Jackはアメリカでいわゆる「盆栽用キョウト・モス」と呼ばれている、特定の苔の種を探しております。
苔の写真を添付しましたので、ご参照いただけたらと思います。
この苔はなんという苔でしょうか。また貴社でこの苔の種は取り扱っていらっしゃるでしょうか。
お忙しい所恐縮ですが、ご返答いただけましたら幸いです。
宜しくお願いいたします。
安藤啓子/ Jack Pollock
 
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■応答:12/6/6
安藤 啓子 様
メール拝見しました。
キョウト・モスと呼ばれる苔の写真も見ました。
正確な同定はできませんが、一見して、濡れた状態のギンゴケ(Bryum argenteum Hedw.)、あるいはハリガネゴケ(Bryum capillare Hedw.) 、かな?と思われます。
同じハリガネゴケ属でよく似ています。
ギンゴケは乾燥状態にすると、先端部分が白く輝いて見えます。
ハリガネゴケは乾燥状態にすると、葉が縮れたように見えます。
苔の種として市販はしておりませんが、少量でしたら用立て致します。
また、苗としても用意できます。
アメリカで和風の庭園や盆栽などが人気を博していると聞きますが、実情をお知りでしょうか。
報道などで見聞きしていると、庭園の苔や盆栽鉢の苔が、実は、あまり本格的な苔でないことにがっかりしています
キョウト・モスも、日本では本来は、ヤマゴケを付けるところですが、ヤマゴケが希少であること、ヤマゴケの育て方を知らないことなどから、手軽なギンゴケやハリガネゴケを用いるのです。
せっかく日本の文化としての苔を使うなら、本格的な苔を勧めるべきだと思っています。

それはさておいて、苔の種は播種から育成して、見ごたえのあるコロニーを形成するまで、1~2年ほど掛かります。ご承知置き下さい。
なお、栽培方法、育成方法はお教えいたします。
苔神工房 北川義一

■その後
 この後、何度もメールを交換して、6月19日にアメリカへ「苔の種」を送付することになりましたが、植物の輸出入の知識がなく、どうしたものかと、新潟の検疫所を訪ねてみました。その結果をアメリカへメールしました。

安藤 啓子 様
苔の種のサンプルを米国へ送付することに関して、調査してみました。
その件に関して、いくつかの問題点が分かりました。
サンプル送付の際、インボイスinvoice を添付しますが、蘚苔類(コケmoss )の輸出入には、検疫証明書が必要です。
新潟の植物防疫所で調べて貰ったのですが、これまでコケの輸出例はなく、検疫証明でどんな検査が必要か、分からない、ということです。
検疫証明の内容は様々で、目視だけの検査で終わる場合もあれば、ラボテストや圃場検査などを必要とする場合もあるそうです。
圃場検査が必要となれば、出荷まで1年以上かかることもあるそうです。
どのような検査が必要かは、米国の検疫所 USDA が決定するようです。
通常は、輸入業者が、USDAに申請して、輸入許可を取得します。
その許可条件に従って、日本の検疫所が検査をし、検疫証明書を発行します。
ちなみに、検疫証明書を添付しないで、蘚苔類(コケ)を送ることはできそうにありません。
新潟の植物防疫所の担当者によれば、今回送付する予定の「苔の種」は
・文字通りの植物の種子 (a seed) ではない、
・何かと言えば、( the cause of propagation ) か?
・蘚苔類の栄養体繁殖の生態の説明も必要か?
・生きている植物ではあるが水洗い、乾燥などの加工をしている、
などなど、詳細の説明がなされないと、許可条件が厳しくなるのではないか、と話しています。
送付する際の包装状態と、内容物の状態を、画像で送ります。
この問題に関して、Mr. Jack Pollockと相談して下さい。
苔神工房 北川義一
 
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■その後
 最終的に、もし検疫で引っかかって届かなくても構わないから、苔の種を送れ、との了解のもとにアメリカへ苔の種を送りました。
 少量の送付だったせいか、無事、届きました。その後も継続して苔の種を輸出しています。でも、アメリカでのコケの栽培はあまりうまくいってないようです。
 
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 栽培の様子について写真が送られてきましたが、培土の種類が分かりません。赤茶色の大きな塊が何なのか、メールで尋ねても要領を得ません。栽培がうまく行かないのは、使用している井戸水の影響かも知れないと連絡が入りましたが、通訳を介しての質問のやり取りは、とても難しいと感じました。コケに関する専門的な用語が通訳ではなかなか理解しがたいことが分かりました。
 相手のJack Pollockの作っている盆栽の写真も送られて来て、こっちは、本格的なのが分かりました。なんとか、コケの栽培がうまく行くように連絡を取っていますが、成功するまで、何年かかるか、今の所、分かりません。
 by 苔神

008 苔の質問と応答

平成13年4月に、ユニークな実験に挑戦している方からメールが届きました。

■問合せ: 13/4/6
日本苔技術協会さま
初めてご連絡さし上げております張雅美(ちょうあみ)と申します。
美術作品として苔を使ったオブジェを制作しているのですが、うまく苔が生育しないので相談したくご連絡いたしました。(制作は神奈川県の自宅の反日向のリビングでしています。)
苔を使ったオブジェを作るにあたり、2通りの方法で実験しました。
ひとつは、海外のウェブサイトなどで見かけるモス・グラフィティ(moss graffiti)と呼ばれる手法を試してみました。
モス・グラフィティの作り方:https://www.youtube.com/watch?v=GBsIljmgm7o
これは土を落とした苔に、水、プレーンヨーグルトを混ぜ、ミキサーで粉砕し、これを絵の具のようにして刷毛で壁面に塗り付けると苔が生えてくるものです。サイトによっては砂糖、ビール、凝固剤、小麦粉などを混ぜたりするそうです。苔の肥料としてヨーグルトを使うと聞いたことがあったので、苔、水、ヨーグルトを粉砕したものを塗り付けました。使用した苔は、コツボゴケ、ホソバオキナゴケ、ツヤゴケ、シノブゴケ、ハイゴケの5種類で、テラコッタに5パターン実験してみました。
 
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しかし、3週間ほど経ちますが、苔が生えてくる様子が伺えません。
お尋ねしたいのは、まず、この手法で苔を生育させることは理論的に可能なのでしょうか。苔は根を持たないため、胞子で生殖し、光合成で栄養を作り出すので、理屈としては間違っていないと思うのですが、いかがでしょうか。
また、ヨーグルトはなぜ苔の肥料になるのでしょうか。ネットで調べても理由が見つからず、半信半疑でおります。
ビールや砂糖は糖分として、凝固剤や小麦粉は水分の保持のために混ぜるのだと思うのですが、これらは苔に混ぜる必要があるのでしょうか。
テラコッタは吸水性があるため苔が生えやすいので使用したのですが、これは不適切でしょうか。より適した素材があればご教示いただけますと幸いです。

■応答:14/2/20
張 雅美 様
メール拝見しました。
苔を使ったオブジェの製作、新しい表現方法でしょうか。
ユーチューブを見ました。
ペーストのコケを刷毛で文字描きするのですね。
あれで、コケが生えて来るか、少し疑問ですね。
でも、コケが生成するメカニズムは、基本的に間違っていません。
コケは確かに胞子で増えるものなのですが、人工的に胞子を収集して栽培することは難しいのです。
日本苔技術協会では苔の種を使った苔の栽培を指導しています。
苔の種は、胞子でも、種子でもなく、コケの茎葉体に他なりません。
ユーチューブでやっていましたが、ミキサーで粉砕した茎葉体は、水と光りで新しい芽を出します。
これを栄養体繁殖と言います。
まあ、挿し木で植物を増やすようなものと同じと考えて下さい。
苔の種は、コケの茎葉体を裁断したものです。
ですから、ミキサーで粉砕したものも、芽を出します。
しかし、ヨーグルトやビール、砂糖などがコケの養分になるというのは、眉唾です。
コケは、仮根という弱い根をもっていますが、植物のように栄養素を吸収することはありません。
極端に言えば、コケは水と空気と光で成長します。
水分は、空気中の水蒸気や水分を、葉や茎から直接吸収します。
ただ、水分と共に栄養素を吸収しているかも知れません。
この辺は、確かなことはまだ、分かっていません。
凝固剤や小麦粉については水分保持というよりは、接着のための粘りを出すためではないかと思います。
私は、苔の種をケト土というねばねばした土に混ぜて、板などに張り付けてコケを育てたことがあります。
コケは育ちますが、ケト土が乾燥すると板から剥がれ落ちますので、乾燥防止がカギです。
でも、そうやってコケを育てても、長くはもちません。
いずれ、ケト土は板から剥がれ落ちます。
苔の種を播いてから、発芽して、成長するまで、およそ1年くらい掛かります。
しかも、かなり良好な環境で育てて、の話です。
水とヨーグルトで粉砕したコケをテラコッタに塗って、3週間くらいでは、なかなか、発芽すら見られないかも知れませんね。
コケを育てることは、簡単ではありません。
庭にコケを育てることができる庭師は、日本では数えるほどしかいません。
まして、こけ玉やオブジェに仕立てて、コケを育てることができる人は、ほとんどいないと言っても過言ではありません。
こけ玉は簡単に作れますし、誰にでも作ることができますが、それを育てることはとても難しいのです。
どんな形状であれ、コケを育てるには、水分の供給、光り、温度のバランスが必要です。
このバランスは、コケの種類によって少しずつ違います。
また、コケが芽を出し、育つまでは、1~2年かかります。
写真を添付します。
苔の種を播いてから、9か月です。
 
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今からでも遅くありません、コケを勉強して下さい。
コケを自在に育てることができるようになれば、世界の注目を集めることができるはずです。
オブジェクトの細部が、コケの厚みで曖昧になるという悩みですが、コケの中でも小さいものを選べばデテールを表現することができるのではないかと思います。
例えば、ハリガネゴケやギンゴケなどです。
一つだけ試して下さい。
ハイゴケに少量の水を加えて、ミキサーに掛けてペーストにします。
ペーストを乾燥させ、粉にします。
両面テープにハイゴケの粉を付着します。
片面を板などに張り付けて、水分を与えます。
3か月ほどすると、細かな新芽が生えて来ます。
うまく行くかどうかは、水分の供給次第です。
張さんの疑問にうまく答えることが出来たでしょうか?
また、分からなくなったら連絡して下さい。
頑張って下さい。
苔神工房 北川義一

■問合せ:14/2/20
苔神工房 北川義一さま
さっそくご返信いただきありがとうございます。またご丁寧にアドバイスいただき大変勉強になりました。
苔の種が茎葉体であること、茎葉体が光と水で新芽をだすことなど、苔のメカニズムが理解できました。
ヨーグルトやビール、砂糖は科学的な裏付けはなさそうなことも、教えていただきありがとうございます。
凝固剤や小麦粉は接着剤の役割かもしれませんが、もしかしてヨーグルトも接着剤の役目がありそうに思えてきました。この週末、ヨーグルトの分量を苔と同じくらいにしてミキサーで粉砕し、テラコッタに塗ったところ、以前試したときよりもテラコッタへの付きが良くなった気がします。ただ、水をあげる度、ヨーグルトが流れ出し、剥がれやすくなっています。YouTubeでは屋外の壁に塗っており、おそらく雨ざらしの環境でどうして苔が流れ落ちないのか不思議です。写真はテラコッタの淵にペーストを塗ったものです。
 
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乾燥したハイゴケの粉の件は早速試してみます!
質問ですが、この方法で粉砕したハイゴケを乾燥させる理由はなんでしょうか。粉砕したての鮮度の高い苔を蒔いた方が早く芽が出る気がします。
また、乾燥とはどれくらいの期間、どの程度の湿度で乾燥させるのが適切でしょうか。枯れてしまいそうで心配です。
オブジェの細部を表現する時は、小さいハリガネゴケやギンゴケなどを使ってみます。アドバイスありがとうございます!
北川さんのメールを読み、苔を育てられる方が少ない事に驚きました。ではインターネットなどで販売している苔は数少ない庭師の方が育てたものか、自然から採集してきたものなのでしょうか。好きで触っている苔でしたが、俄然やる気が出てきました。
苔のオブジェを作るにあたり、新しい方法を考えたので今週試してみます。布に粉砕した苔をまき、乾燥防止のためテラコッタに巻き付けて育ててみます。成功するまでには時間がかかるかもしれませんが、がんばってみます。
このたびは突然のメールにも関わらずアドバイスいただき本当にありがとうございます。
まずは、いろいろ試してみます。
張雅美

■応答:14/2/21
張 雅美 様
ハイゴケは完全に乾燥して下さい。
乾燥させないものも、やってみるとよいでしょう。
壁面などにコケを付ける技術は難しいものです。
接着剤でも、水にぬれると剥がれて来ます。
剥がれ落ちない接着剤で、しかも、コケが成長できるものを、多くの方が研究しています。
張さんも研究してみて下さい。
苔神工房 北川義一

■問合せ:14/2/20
苔神工房 北川さま
ご教示ありがとうございます。
ハイゴケは完全に乾燥させてみます。乾燥させないのもやってみます!
苔を成長させるのは難しいんですね。でも挑戦してみます。
アドバイスありがとうございました。

006 苔の質問と応答

■問合せ: 13/8/15
毎年夏に親戚の集まり的なものに行くのですがそこで初めてとても綺麗な苔を見つけ、苔の栽培に興味を持つようになりました。去年は自分の知識不足で枯らしてしまったので今年はそうゆうことがないようにしたいのですが、なにしろ知識があまりないものでメールさせていただきました。
 
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四種類ほど苔を採取したのですが、インターネットの写真と見比べてもどれがどの苔だかわかりません。
なので、苔の種類と育て方(日向と日陰どっちがいいか、水やりの頻度など)を教えていただきたいです。
また、複数種類があるので水槽で育てたいと思うのですがそれは可能でしょうか
可能な場合は必要なものも教えていただけると幸いです。
どぅた

■応答:13/8/15
どぅた 様
メール拝見しました。
コケの美しさに魅入られて、コケの愛好者になる、最近、増えています。
同じ、コケの愛好者として、うれしい限りです。
コケは、日本国内だけでも1,800種類以上存在しています。
コケはご存知のように、とても小さい植物ですから、見た目では、同じように見えるコケでも、どの種類かを決めるのはとても難しいのです。
種類を判別するには、普通は、サンプルを採取して、顕微鏡で茎や葉を観察します。
ちいさな特徴を見分けて、それでも分からないものもあり、切片を作り、細胞を観察して判別することもあります。
どぅたさんが、現物をウエブ上の写真と見比べても、判別できなかったというのは、仕方のないことなのです。
残念ですが、添付された写真だけでは、種類を特定することはできません。
でも、種類が分からなくても、大体の育て方の要点は教えることができますので、チャレンジしてみて下さい。
植木鉢に土を入れて、たっぷと水を含ませます。
コケを乗せて、上からしっかりと土に押し付けて下さい。
再び、上からジョウロで水をやります。
植木鉢の置き場所ですが、まず、苔の生えていた場所の特徴を思い出して下さい。
日当たりか、日蔭か、それに近い場所で育てます。
屋外でも、室内でもどちらでもいいです。
育て方は、水やりだけです。
水やりの頻度は、土の表面が乾いてきたら、ジョウロでたっぷりとやります。
霧吹きではだめです。土の中まで水が染み込むようにして下さい。
注意する点は、風とエアコンです。
どちらも急激に乾燥してしまいますので、避けるようにして下さい。
以上です。
うまく行くかどうかは保証できませんが、私は、このやり方でほとんどのコケを育てています。
頑張ってやってみて下さい。
一言します。
人にものを尋ねる時は、まず、自らが誰なのか、名前を名乗り、自己紹介をするのが常識です。
それがない場合は、応答しないことがあります。
ご注意下さい。
苔神工房 北川義一

■問合せ:13/8/15
お返事ありがとうございます。
すみません^^;
失礼しました。
埼玉県在住の現役高校一年生で名前を丸山航と申します。
苔について興味を持ち、去年採取したのですが枯らしてしまい、高校に入ってからインターネットで購入したのですが、正直うまくいっていないのが現状です(´・_・`)
普段のイメージからして苔が好きなんだと友達に言うと驚かれることがとても多いです(笑 友達に自分のとても綺麗な苔を見せて、少しでも関心を持ってもらいたいと思っています。
質問ばかりで申し訳ないのですが、同じ植木鉢に複数種の苔を栽培するのは可能でしょうか。
また質問が重なるのですが、大きな水槽で複数種の苔を栽培するのは可能でしょうか。
家に帰ったらすぐにでも苔の環境を整えたいと思っています。
正直まだわからないことだらけなので、またメールさせていただいてもよろしいですか?
丸山航

■応答:13/8/15
丸山 航 様
返信のメール読みました。
コケは、今、世界中から注目されています。
地球温暖化に、コケが役に立つのではないかと、コケの栽培に関心が寄せられているのです。
コケは世界中に普通にあるのですが、コケを育てる技術は、日本にしかない、といってよいほど、日本のコケの技術に世界中が注目しているのです
でも、日本でも、コケの栽培技術を持つ人はとても少ないのです。
コケを研究する学者もとても少ないのです。
丸山さんが将来、コケの研究に携わり、地球温暖化に有効なコケの利用方法を開発してくれることになったら、いいなあ、と思います。
そこで、一つだけ、特別な、コケの栽培方法を教えます。
採取してきたコケを水洗いします。
それを乾燥させます。
からからに乾いたコケを手で揉んで、細かくします。
小さい植木鉢に土を入れ、水で濡らし、その土の上に、細かくしたコケを隙間なく平均に播きます。
大きな水槽があるようなので、水槽を利用します。
まず、水槽の底にカーペットを敷きます。
不要になったカーペットを水槽の底に合わせて切って下さい。
カーペットが沈むくらい、水を入れます。
そこに植木鉢を並べます。
水槽の口はガラスでふさぎます。(水分が蒸発して無くならないようにします。)
ガラスがなければビニールでふさぎます。
水槽はできるだけ明るい場所に置きます。
こうして、コケを発芽させ、育てます。
播きゴケ法という栽培方法です。
植木鉢には、1種類でも複数種類でも、どちらでもいいです。
コケを育てる時、必ず、写真を撮って記録して下さい。
コケを採取する前の写真、全体、部分、コケの単体、播きゴケした様子、発芽の様子、育って行く時の様子などです。
ノートに、コケの採取日、採取場所、播種した日、最初に発芽した日、などを記録します。
詳しく記録すれば、コケの研究ノートとして貴重な資料になります。
高校生の生物研究を発表する場所もあります。
ある程度のコケの栽培が成功したら、高校の生物の先生に見てもらうといいでしょう。
生物クラブに所属するのもいいです。
私も、高校生時代、生物クラブで昆虫の研究をして、新潟県から表彰されました。
でも、高校の生物の先生でも、コケの専門家は、たぶんいないと思います。
生物クラブに所属すると、コケの図鑑や顕微鏡などを利用できるのが、最大のメリットです。
今後も、コケで知りたいことや疑問があれば、いつでも相談下さい。
大宮高校の生物部の生徒も、コケについて私に相談してきます。
暇があったら、新潟へ訪ねてくれば、いろんなことを教えてあげます。
苔神工房 北川義一
PS.水槽ではありませんが、プラ容器で栽培している私の試験栽培の写真を添付しますので見て下さい。
 
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■問合せ:13/8/15
美しいうえに世界規模での活躍も見込める植物なのですね!!驚きました!!
貴重な情報ありがとうございます
早速実践してみようと思います。
苔の魅力をたくさんの人に伝えられるよう、頑張ります
本日はお忙しい中ありがとうございました。
丸山 航

007 苔の質問と応答

 苔神に寄せられる国外からの問い合わせは、アメリカ、フランス、中国、韓国など様々な国からあります。専門的な栽培技術や初歩的な苔の名前の問い合わせなど、本当に多種多様です。
 平成14年2月に、ドイツからメールが届きました。

■問合せ: 14/2/20
日本苔技術協会 事務局 様
こんにちは、はじめまして。 苔玉に興味がありインターネットでこちらのサイトを知り、ご連絡いたしました。
私は未だ苔玉作りは未経験ですが、いつからか苔にはなんとなく興味を持つようになりました。ホームページには簡単な材料で作れる手引きも載っていて感激しました。
近々ぜひ自作したいと思っています! 
ホームページの中で質問の回答文の中に、「今後、コケは様々な形で需要が増えて来ます。今、コケを学んでおけば、将来、大きな事業に取り組むことが出来ますよ。」という文章を拝見いたしました。 
この上記でおっしゃられている苔の様々な形での需要について簡単に教えては頂けませんでしょうか? 
私は現在ドイツに住んでいるのですが、お花やさんは数あれど、コケ玉はまだ拝見したことがありません。(それほど見て回っているわけではありませんが) 
もし自分でコケ玉を作り育てることができたら、それを知らない人に見せてあげたいし紹介してあげたいと思っています。(ドイツは湿気が少ないのでどうなるかは分かりませんが。)
どうぞよろしくお願いいたします。
南 敦子

■応答:14/2/20
南 敦子 様
日本苔技術協会の北川義一です。
メールを受信しました。
苔神のサイトをお読みいただいて、有難うございます。
ドイツに在住とのこと、どんなところなのかな?と、想像をめぐらしています。
こけ玉は、日本人独特の繊細な自然観が培ってきた表現様式の一つです。
コケ=蘚苔類植物は、庭園やガーデニングでは、目立たない脇役の存在です。
コケは世界中、どこにでも生息しています。
もちろんドイツにもたくさんあるはずです。
でも、地味な植物で、ほとんど、誰の目にも「ただのコケ」としか映らず、見過ごされています。
そのせいでしょうか、コケ=蘚苔類植物は、学術的にも研究が進んでおらず、育て方も、増やし方もまだよく知られていない、そんな植物です。
そのコケが、近年になって、実は、非常に特異な生態を有していて、長期間の乾燥状態にも耐えて、生き続けることが分かってきました。
このコケの生態が、地球の温暖化、co2の固定、気象変動などの大きな問題と共にクローズアップされつつあります。
例えば、ビルの屋上のような環境下でも育つ可能性があり、それを利用してビルの屋上や壁面を緑化できれば、ヒートアイランド現象を防ぐ効果が期待できます。
また、極寒の南極でも生息が可能、乾燥状態に遭っても生息が可能という能力を利用すれば、砂漠の緑化も可能ではないか、とコケに対する期待が膨らんでいます。
夢のような話は別としても、コケに寄せる日本人の独特の自然観や、その自然と共生している文化観が、こけ玉に象徴されていると思います。
オリンピック招致で「お、も、て、な、し」が注目されたように、今、日本人の持つ感性が、世界的に注目されています。
イングランドのチェルシーのガーデニングコンテストでは、数年前から日本庭園「苔庭」が注目され、受賞しています。
同じ流れですが、欧米諸国では、「盆栽」に注目が集まっています。
この、盆栽の鉢にコケを育てたいという問い合わせが、諸外国から苔神に寄せられています。
諸外国にはコケを扱う歴史がなかったようで、コケを栽培する、育てる技術がありません。
その諸外国からの技術を求める対象となったのが、簡単そうで、見栄えのするこけ玉だったようです。
コケ=蘚苔類植物には、近未来の地球の危機を救うかもしれない可能性と、人類の自然観や世界観に対する哲学的な精神性に対する魅力があると考えます。
少し、饒舌になってしまいましたが、確かに、コケには不思議な魅力があります。
でも、コケの魅力は語るよりも、実際に手にしてみるのが一番です。
Adrien Benard というフランス人がこけ玉で活躍しています。
一昨年、来日して、コケの栽培技術やこけ玉を勉強したいと、日本苔技術協会に参加しました。
今年、パリに、こけ玉の専門店をオープンすると聞いています。
http://www.aquaphytedesign.com/ サイトを参照してみて下さい。
世界の各地へこけ玉は広がって行くはずです。
南さんが、ドイツの人々にこけ玉を作って見せてあげれば、きっと、驚きと感嘆の視線で注目され、日本の精神文化と、コケの技術について、多くの質問を受けることになるだろうと、想像します。
私は、十数年前にコケの世界へ一歩を踏み出しました。
これからでも遅くはありません、どうぞ、南さんも、一歩を踏み出して下さい。
コケの世界へ、ようこそ!
苔神工房 北川義一

■問合せ:14/2/20
北川 様
早速返信いただきましてありがとうございます。
苔の可能性やその性質は凄いですね!南極でも生息可能というのも驚きでした。
これから日本の精神文化も含め、勉強していきたいです! 
ドイツの首都ベルリンに私は住んでいます。ベルリンには盆栽専門店がひとつあると知り、早速出向いてみようと思っています。きっと苔も扱っているような気がします。
又、ベルリン市内には緑豊かな公園が多々存在し、苔も元気に生息しているのを出向く度に見ています♪
Adrien Benardさんのホームページで扱っている商品もステキでした。 私も夢が広がります! 
度重なる質問になりますが、勉強するためにお勧めの書籍はありますか? 
一つ購入し、熟読しようと思います。 
 
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早速、初めてのコケ玉作りをし、無事完成いたしましたのでご報告いたします! 
もともと家にあった観葉植物を使用し、苔は公園で採取してまいりました。
布とゼリーか何かの空き容器を切り抜きパイプ代わりに使用。
苔の種類はハイゴケかギンゴケでしょうか? 公園の土の上に雑草と混じってありました。 
人生初めてのコケ玉作り楽しかったです!&完成し、とても嬉しいです!! 
南 敦子

■応答:14/2/21
南敦子 様
こけ玉の写真見ました。
初めてにしては、よく出来ていると思います。
ホームページの作り方をちゃんと、見ていますね。
ホームページにはさらに新しくて、もっと詳しい作り方がアップされています。
技術レポートがPDFファイルになっているので、添付して送りましょう。
こけ玉は、作ることは易しいのですが、育てることが難しいのです。
そこで、易しく育てられる作り方を工夫します。
今の所、最もやさしく作れて、やさしく育てられるのが、布こけ玉です。
コケを勉強するために役立つ書籍に、適当なものはありません。
もし、本気で学ぶつもりなら、図鑑を購入して、毎日、眺めて読んで下さい。
何が書いてあるか分からないかも知れませんが、とにかく、毎日、少しずつ、目を通します。
どうしても気になることがあったら、植物の専門家を訪ねて、質問すると良いでしょう。
平凡社から発行されている「日本の野生植物 コケ」岩月善之助編、をお勧めします。
コケを学ぶ最善の方法は、自然のコケを観察し、手で触れ、育ててみることです。
ファーブルやダーウィンがたどった道です。
幸い、ベルリンには色んなコケがあるようです。
20倍ほどのルーペを購入して、覗き込んで観察して下さい。
写真を撮って、記録を残して下さい。
日付、場所を記録して、いろんな角度から撮影して下さい。
できるだけ、精密な画像で記録して下さい。(拡大して観察します)
撮影した画像を送ってくれれば、色んなことを教えてあげることが出来ます。
ちなみに、初めて作った敦子さんのこけ玉は、ハイゴケではなく、ハネヒツジゴケ(Brachythecium plumosum hedw.)、あるいは、アオギヌゴケ(Brachythecium populeum hedw.)のようです。
ハイゴケに似ていて、よく間違えられますが、でも、ハイゴケの名前や特徴を知っているなんて、結構、コケ通ですね。
こけ玉を通じて、ドイツの人と交流して下さい。
日本的な精神文化観を多くの人に伝えて下さい。
応援します。
苔神工房 北川義一

009 苔の質問と応答

 ポーランドからメールが届きました。ワルシャワ在住の八木皓平さんです。

■問合せ: 14/5/27
 苔神工房 様
初めまして。私はポーランド在住の日本人で日本にいたときに、苔を育てていたのですが、こちらにきて4年たち、最近、苔を使って何かできないかと考え始めました。
試しに苔の種を日本から持ってきて育ててみたいと思っています。
HPでアメリカやフランスへの輸出の例を拝見いたしました。
そこで、ハイゴケ5L、スナゴケ5Lほど購入したいと思っているのですが、見積もりはどれぐらいになりそうか、教えていただけますか?
八木 皓平
 
■応答:14/5/28
八木 皓平 様
ポーランドからメールを頂きました。感激しています。
苔の種はハイゴケ、スナゴケ共に、1リットル¥515円ですから、合計で¥5,150円です。
送料が別に掛かりますが、調べてみないと分かりません。
EMS(国際スピード郵便)の料金を調べて、メールしますので、少しお待ち下さい。

ポーランドでコケを育てるということですが、気になることがあります。
苔の種を播種して、育てるために、栽培ケースを使用することをお勧めしていますが、栽培容器を手に入れることができるのでしょうか?
あるいは、ポーランドの気候はどのようなものなのでしょう?
苔の栽培は気候環境と密接な関係があります。
気候環境を無視しては、うまく育てることができないのではないかと心配します。
せっかくポーランドでコケを栽培するというなら、是非とも、成功して欲しいと思います。
ドイツに在住する日本人からも、コケをドイツで育てたいとメールを頂きました。
現在、ドイツの気候や環境について教えて貰っているところです。
そうしたデータを分析して、できるだけ成功の確率の高い栽培方法を打ち合わせています。
また、アメリカ、フランスへの輸出は成功しましたが、ドイツやポーランドは初めてです。
検疫でのリスクがあることを、ご承知置き頂きたいと思います。

取り敢えず、メールを頂いたこと、有難うございます。
また、メール致します。
苔神工房 北川義一

■問合せ: 14/5/29
 苔神工房 様
ご連絡ありがとうございます。
気候に関しまして、北海道に似た気候だと思います。
まず、4月は月末までは最高15℃、最低2-3℃の日が多く、通常の農作物の播種も15日をすぎてからハウス内でヒーターを使って行われます。
5月-8月は急激に気温が上がりときには30℃になることもあります。
先日も最高12℃の日が続いていたのですが次の週になって30℃近くまで一気にあがります。
特にここワルシャワは、急激な温度変化の多い土地です。
夏の間は、連日、天気がよく、夕方に夕立になる日が多いように思います。
夏の後半は涼しくなってきますが大体20℃の日が多く、晴れの日が続きます。
9月-10月は、20℃を行ったり来たりとしますが、曇りの日が徐々に多くなります。
11月-12月、例年は、この頃から冷えて雪が降り始めるのですが、昨年は10℃あたりを行ったり来たりしていました。
基本この時期は低い雲に覆われています。
1月-3月 ポーランドで一番寒い時期です。寒いときでは、マイナス30℃まで下がり、最も乾燥して雪に閉ざされた時期になります。
湿度は日本に比べて乾いていた気候ですが、雨も適度に降り、1年の半分とまではいきませんが、特に秋から冬にかけては、曇りの日が多いです。
森の中には非常に多くのコケを見ることができます。
 
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 <八木さんが撮影した近隣の森の様子です。>
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 <ポーランドで八木さんが育てているコケ。何種類かあるようです。>
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 <スギゴケ科POLYTRICHACEAEと、シッポゴケ科DICRANACEAEのようです。>
 
写真のようにこういったコケの絨毯が森一面中に広がっています。
そして、こちらの森はところどころ湿地になっている場所が多いです。
国土の北半分には多くの湿地帯があり、その周りに大きな森林群があります。
温度が低いため、日本よりは成長量は劣ると思いますが、林床はこのように湿地帯の多い地域なので、苔には向いていると思います。
こちらが栽培を考えている場所です。ここに遮光シートをかけて栽培しようと思っています。
栽培ケースですが、育苗ケースならたくさんあります。
下に穴があいて、水はけのいいものです。
下に穴があいてないものもあります。
こちらは、敷地内で見つけてコケをケースに入れてみて、蒔きゴケに使えないかと考えています。
発泡スチロールは、浮き船式のミズゴケ栽培です。
今年から初めてデータをとっているところです。
日本の熊本では通常1㎡あたり、4キロ蒔いて、16キロの収穫があります。
こちらの温度でどこまで育つものなのか非常に興味があり、同じ方法で栽培をしております。
照度は70%遮光です。
土も問題があります。
日本で使用していた鹿沼や赤玉などは、こちらにはなく、
唯一ピートモスなら買うことできます。ミズゴケもインターネットでしか購入できなく、ケト土もなく。
苔玉を作るのに、苔神様が行っていた布を使って作ろうと思っています。
八木皓平

■八木皓平さんと苔神のメールのやり取りは、このようにして始まりました。メールの内容は、主にポーランドへの苔の種の送付と、コケ栽培の技術ですが、苔神の求めに応じて、ポーランドのコケの写真を送ってもらいました。
 
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 ポーランドとベラルーシの国境に広がるビャウォヴィエジャの森の様子です。世界遺産に登録されたヨーロッパ最後の原生林として知られているようです。この写真は八木さんの友人が撮影したもので、八木さんはまだここを訪ねたことがないそうです。
 それにしても、こんな原生林とそこに生息するコケ、日本では滅多に見られません。苔神の経験では、長野県の白駒の池周辺に広がる「苔の森」くらいでしょうか。感動です!
  by 苔神

010 苔の質問と応答

 コケを庭に付けたいという個人の方からの問い合わせがかなりあります。
 質問の大多数は「どの種類のコケを付けたら良いか?」ということと、「○○種類のコケを付けたいが、どうすれば良いか?」というものです。メールでのやり取りでは、庭のコケが駄目になったので、自分で納得の行くようにコケを付けてみたいので、コケ付けの方法とその後の管理方法を教えて欲しいというのが、問い合わせの内容です。
 コケが駄目になる(枯れる)原因は様々あると思いますが、要約すれば、コケは種類によって日照や風などの環境条件と給水量のバランスが異なっています。そのバランスが適合していないことが、コケが駄目になる原因の大半を占めています。
 
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 3月初旬頃、黒鳥地区の威徳寺の住職さんから、「苔の苗を分けて欲しい」と電話がありました。苔神は試験栽培で育てたコケの苗が多少ありますが、売り物として育てているわけではないので、適当にご自分で見て選んでもらうことにしました。すると、自分は苔のことを知らないと言います。
 話を聞いて見ると、以前、寺の庭園に造園屋さんからコケを付けて貰ったが、数年もしないうちに駄目になり、その度にコケを付け直し、それを何度も繰り返したのだそうです。もう今では、コケは駄目になったままにしてあるとのこと。今回は、新しく作る庭(石庭)に自分でコケを付けるので、苗だけ欲しいのだということでした。
 苔神の圃場からすぐ近くの現場なので、一度、庭の様子を見させてもらいました。現場を見ながら、コケの種類や、下地作り、コケの苗の移植法、維持管理の方法などをかいつまんで教えて来ましたが、それから程なくして40ケースほどのスナゴケの苗を持ち帰り、1日で施工してしまいました。上記の写真がビフォア―&アフターです。後は、住職さんの管理次第というわけですが、それにしても、こうやってコケを全く知らない人が庭にコケを付けるのかと、苔神は少し驚いた次第です。
 せっかくですから、この庭のコケの様子を観察してみようと考えています。
  by 苔神

011 コケの質問と応答

 8月4日から6日まで、長野県北八ヶ岳で開催された日本蘚苔類学会に参加して来ました。
 4日午後1時に麦草ヒュッテに集合し、白駒の池周辺の苔の森で、樋口正信先生の指導で、ナンジャモンジャゴケの観察をしました。地獄谷という場所で、切り立った断崖の下に、数ミリほどの小さなコケを見ましたが、肉眼ではどんなコケなのか、全く分かりません。もちろんこのあたりのコケは採取禁止ですから、手に取ってルーペで見ることもできません。デジカメで接写を試みましたが、とても見せられるようには撮れていませんでした。
 
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 写真上:崖の下のナンジャモンジャゴケ観察   苔の森で様々なコケを観察

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 写真上:スギゴケの群生  セイタカスギゴケとコセイタカスギゴケ
 
 北八ヶ岳は2000m近い高山帯にあり、セイタカスギゴケ(Pogonatum japonicum)、コセイタカスギゴケ(Pogonatum contortum)が至る所に群生しているのを見ることができます。セイタカスギゴケはオオスギゴケに良く似ていますが、茎高、葉がとても大きいこと、葉は見た目にも柔らかい感じがすることなどで、見分けられます。葉の柔らかい感じは、薄板の細胞数の違いによると考えます。
 苔神は以前にも苔の森へ来たことがあるのですが、溢れるほどのコケの景色に、改めて感動しました。
by 苔神

012 コケの質問と応答 多肉植物とコケ

 時々、電話で問い合わせを頂くことがあります。折りよく対応できる時はお答えすることがありますが、出来れば、メールの方が苔神にとっては都合が良いのです。何よりも、文章や写真を利用する方が質問に正確にお答えすることができます。

 先日、こんな質問を受けました。
「多肉植物とコケを一緒に栽培することはできますか?」
「コケと多肉植物は栽培期間が違うでしょうから、別々に栽培した方がいいと思いますよ。」
「一緒だと、どちらかがダメになりますか?」
「いや、ダメになるということではありませんが、一緒に栽培する必要があるのですか?」
「多肉植物の鉢に、コケは栽培できないんでしょうか?」
「???」

 質問内容は、多肉植物とコケを一緒に育てることができるか?というものでした。栽培と聞いて、苔神は、播種をして、2年ほど圃場で育てることを思い浮かべてしまったのです。
 人工的に多肉植物とコケを育てることは可能だと思いますが、それなりの工夫が必要ではないかと考えます。実際に苔神は多肉植物とコケを一緒に育てたことがありませんから、正確に答えることはできません。でも、幸いなことに、自然界で多肉植物とコケが一緒に生えている写真を見たことがあります。自然界にあるのですから、多肉植物とコケは一緒に育てることはできるはずです。
 
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 上の写真はロンドン在住の朽網会員がダービーシャーで観察したコケの写真です。上左の写真には多肉植物とコケ(アオギヌゴケ科?)が見られます。上右の写真は、石垣に群生するコケ(アオギヌゴケ科?)が観察されます。

 朽網会員はロンドンでコケの栽培に挑戦するために、先ずは、イギリスでどんなコケが生息しているのか、フィールドワークで観察しているところです。ロンドン市内の街路や公園を歩き回り、観察したコケを画像で記録し、少量を採取してサンプル栽培をします。まだ、始めたばかりですが、結構、たくさんのコケを発見しているようです。
 最近、朽網さんは「コケゆきてロンドン。A moss lover in London!」というブログを始めました。イギリスのコケ事情が画像で見られますので紹介しておきます。
 http://blog.livedoor.jp/kokeyuki/archives/1110037.html

by 苔神

013 苔の質問と応答 ヨーグルトとコケ

 モスグラフィティーと呼ばれる壁面などにコケで文字や絵を描く表現が話題になっているようです。粉砕したコケをヨーグルトなどに混ぜて、絵の具のように壁面に塗り、それを育てると苔の美しい絵や文字が浮き上がってくるというものです。ネット上にはそんな画像がたくさん掲載されていますが、本当にそんなことができるのか?どうすればそんなふうにコケを育てることができるのか?という疑問が生じます。
 苔神にも、そんな質問がたくさん寄せられましたが、原理的に言えば、コケは水分と光があれば育ちますので、壁面でもうまく塗り付けることができれば、育つはずです。
 
 2016年2月に、早速試験をすることにしました。
 コケはハネヒツジゴケ(Brachythecium plumosum Hedw.)など、3種類ほど混じったものを用意。ミキサーで粉砕し、ヨーグルトに混ぜて合板に塗り、栽培試験開始。ヨーグルトの他にも、ただ、水で混ぜたものも試験しました。
 
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 左端:ヨーグルト 右端:水  2016年2月9日
 
  毎日、霧吹きで水を補給し、3ヶ月間観察しました。途中経過で面白い現象を観察しましたが、結果だけをレポートします。
 
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 2016年5月5日 観察 水で混ぜたもの
 
 結果は、ヨーグルト、その他で栽培したものは発芽しませんでした。水で混ぜたものだけが、ご覧のように発芽しています。
 試験は室内の窓際で行いましたが、屋外の壁面だと、水で混ぜたものは乾燥すれば剥がれ落ち、雨が降れば流れ落ちてしまうでしょう。おそらく、ヨーグルトは壁面へ塗るための粘性を持たせるために使用するのだと考えますが、少なくとも、水だけで栽培するよりは生育に対する障害があるようです。
 今回はコケをミキサーで粉砕して栽培試験をしましたが、粉砕せずに、コロニーをそのまま壁面に付着させて育てる方が、育てやすいと考えますが、どうやって苔のコロニーを壁面に付着させるか、その方法が問われると思います。コケを利用した壁面緑化を実施する企業がありますが、どの企業もコケを付着させる方法を工夫しているようですし、付着させたコケへの給水方法に知恵を絞っているようです。
 いずれにしても、モスグラフィティーと呼ばれるコケを壁面などに育てる技術は、未知な部分が多く、苔神にもわからないことだらけでした。
  by 苔神

014 苔の質問と応答 苔技術基礎講座

 日本苔技術協会は苔を事業とするに必要な技術の研究開発を進め、普及をはかっています。そのため、会員に対して、苔技術基礎講座の研修を実施していますが、「この研修の内容は?」という問い合わせをたくさん頂きます。今回は、苔技術の研修について紹介しましょう。

 苔の栽培技術基礎講座は、1)フィールドワーク、2)苔の栽培実習、3)苔の基礎知識講座、というカリキュラムで研修をしています。
 
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1)フィールドワークでは、公園や里山を歩いて苔の野外観察をしますが、主なテーマは、苔の観察の方法です。苔がどのような環境に生息するのか、その苔の種類の見分け方や特徴について学びます。
2)苔の栽培実習では、栽培用の種の加工から播種、圃場配置、完成苗の採取など、栽培の実技を苔神の試験圃場で実習体験します。その他、会員の圃場を訪問し、実際の栽培現場を見学したりもします。
3)苔の基礎知識講座はスライドショーを見ながらの座学です。蘚苔植物の分類構造や生態などの一般的な知識の他に、栽培圃場の作り方とそれぞれの特徴について、事例を挙げて学びます。
 
 苔技術基礎講座は新潟の苔神で2泊3日の行程で開催しています。遠隔地の方は遠い新潟まで出かけて来なければなりませんが、それだけの価値がある研修だと、苔神は自負しています。多くの方に受講してもらい、苔の人工栽培が普及し、苔の産業化に少しでも役に立ちたいと苔神は考えています。
 by 苔神

015 苔の質問と応答 スナゴケの庭

 1年半ぶりに、威徳寺の庭を取り上げます。前回は№010 2015年4月6日でした。
 スナゴケ(和名:エゾスナゴケ、学名:Racomitrium japonicum Dozy & Molk.)を使った石庭で、威徳寺の住職さんが苔を移植しました。ちょうど、お寺の方が手入れをしているところでしたので、少し話をしました。
「管理の手間はかかりますか?」
「1年目は雑草取りが大変でした。夏場の水やりも欠かせません。今年は特に、暑かったでしょ。でも、このお彼岸までです。」
「コケは順調に育っていますね。」
「ずいぶん密度が増して来ましたね。スギゴケが出て来ましたよ。」
「私の圃場では、時々、出るんです。」
 
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 苔神の試験圃場では、何種類かの苔を栽培しています。そのせいか、時々、栽培ケースの中に他の苔が出てくることがあります。それが移植後の環境や管理次第で繁殖し始めることがあります。ここ威徳寺の庭園がスギゴケ(和名:ウマスギゴケ 学名:Potrichum commune Hedw.)の繁殖環境だとはとても思えないのですが、あちこちに繁殖を始めています。よほど水管理が適しているのかも知れません。
by 苔神